小金井市医師会からのメッセージ(新型コロナワクチンについて その7 モデルナ社の新型コロナワクチンについて)

更新日:2021年6月3日

6月3日更新:表1内の項目「接種施設へのワクチン納品方法」の表記方法を修正しました

一般社団法人 小金井市医師会

新型コロナワクチンについて その7 モデルナ社の新型コロナワクチンについて

 モデルナ社とアストラゼネカ社の新型コロナワクチンが5月21日厚労省に特例承認されました。このうちモデルナ社のワクチンは公的接種の対象となり、すでに5月24日から東京や大阪等の大規模接種会場で使用されています。一方、アストラゼネカ社のワクチンはまれながら血栓症の副反応が報告されたこともあり現時点では公的接種の対象外とされ、本邦では使用される予定はありません。


 モデルナ社のワクチンは今後各地の大規模接種会場等で使用が広がる予定です。今回はモデルナ社のワクチンについて解説致します。

1.ファイザー・ビオンテック社のワクチンと同じところ、違うところ

大前提としてモデルナ社のワクチンはファイザー・ビオンテック社のワクチンと非常に似ています。いずれもmRNAワクチンで、基本的に同じテクノロジーで作られています。(mRNAワクチンについては「新型コロナワクチンについて その4 mRNAワクチンって何?」をご参照ください。)

米国でもどちらも使用されており、その似た性質からコカ・コーラとペプシ・コーラに例えられたりしています。

それぞれのワクチンの特徴を表1にまとめました。特徴が異なる項目には(注記:)をつけています。

表1
製造販売業者 ファイザー・ビオンテック社 モデルナ社(武田薬品工業)
販売名 コミナティ筋注 COVID-19ワクチンモデルナ筋注
ワクチンの種類 mRNAワクチン mRNAワクチン
接種対象者(※) 12歳以上 18歳以上
接種方法 三角筋に筋肉注射 三角筋に筋肉注射
投与量(※) 0.3ml(30μg) 0.5ml(100μg)
接種回数 2回 2回
接種間隔(※) 通常3週間 通常4週間
接種後待機時間 15分から30分 15分から30分
有効性 発症予防効果 95パーセント 発症予防効果 95パーセント
重症化予防効果 89パーセント 重症化予防効果 100パーセント
感染予防効果 90パーセント 感染予防効果 90パーセント
アナフィラキシー 4.7人/100万人 2.5人/100万人
費用 無料 無料
保存温度・期間(※) -75±15度で6か月間 -20±5度で6か月間
-20±5度で14日間 2度から8度で30日間
2度から8度で1ヶ月間  
希釈の必要性(※) あり なし
1バイアルあたりの
接種回数(※)
5接種から6接種分 10接種分
接種施設へのワクチン
納品方法(※)
ファイザー社→基本型接種施設→連携型/サテライト型接種施設 卸から直接接種施設に納品

接種のイラスト

 有効性や安全性もほぼ同じで、表に示した通り非常に高い有効性があります。

 いずれも筋肉注射で、接種後15分から30分待機していただくのも同じです。

どちらも2回接種ですが、ファイザー・ビオンテック社のワクチンは通常2回目を3週間後(最短で18日以上の間隔をおいて接種可能、3週間過ぎた際はなるべく早く接種)、モデルナ社のほうは通常4週間後(最短で20日以上の間隔をおいて接種可能、4週間過ぎた際はなるべく早く接種)に接種します。

 ファイザー・ビオンテック社のワクチンは12歳以上(これまで16歳以上でしたが5月31日から12歳以上に拡大されました)、モデルナ社のものは18歳以上で接種可能です。モデルナ社のワクチンも米国で12歳以上への臨床試験が行われて安全性と有効性が確認されており、さらに若年への臨床試験も進行中です。

 1回目と2回目のワクチンは必ず同じ会社のものを接種します。1回目と2回目で違うワクチンを接種した際の有効性や安全性は確認されておりません。それぞれのワクチンを扱う会場は異なりますのでご注意ください。

 

2.有効性

ワクチンのイラスト

ファイザー・ビオンテック社、モデルナ社のワクチンとも、1回目接種の約2週間後から徐々に免疫がつきはじめ、2回目接種の2週間後にしっかり免疫がつくとされています。

 どのぐらいの期間中和抗体が維持されるかについては、新しいワクチンであり期間的に調査の限界がありますが、少なくとも6か月間は抗体が持続することがわかっています。

 また変異ウイルスについても、ウイルスを中和する効果はやや落ちるものの効果が全くなくなるわけではなくある程度予防はできることが分かっています。

3.安全性

 重篤な副反応であるアナフィラキシーはごくまれで、発症した方もすべて適切な処置がなされています。アメリカや日本において、これまでファイザー・ビオンテック社およびモデルナ社のワクチン接種が原因で死亡した方は報告されていません。アストラゼネカ社やジョンソンアンドジョンソン社のベクターワクチンではまれながら血栓症の副反応が報告されていますが、mRNAワクチンでは血栓症の副反応はこれまで報告がありません。

 ファイザー・ビオンテック社、モデルナ社のワクチンとも mRNAをつつむ脂の膜としてポリエチレングリコール(PEG)が使用されており、PEGアレルギーの方は接種ができません。ただしPEGは多くの医薬品や化粧品、食品添加物として使用されており、PEGアレルギーはごくまれであるとされています。たとえ医薬品や化粧品でアレルギーが出たことがある方でもその他の成分による可能性が高いと考えられます。実際には、1回目の新型コロナワクチン接種でアナフィラキシーが出た方以外は接種を受けられると考えて構いません。

 一般的にみられる副反応は表2となっており、やや頻度は高いですがファイザー・ビオンテック社と大差はありません。いずれも2回目の2日目が最も頻度が多く、数日でおさまります。いずれも若い方のほうが頻度・程度が高いです。

表2
症状 1回目(パーセント) 2回目(パーセント)
注射部位疼痛 82.7 85
頭痛 13.3 47.6
倦怠感 18.7 63.3
筋肉痛 37.3 49.7
37.5℃以上発熱 2 40.1

4.最後に

 私たちの体の1つの細胞に1個の新型コロナウイルスが感染すると、細胞内でウイルスが100から1000万個に増殖し細胞を壊して体内にばらまかれます。ワクチンで接種するmRNAはウイルスの表面の一部のたんぱく質の設計図であり、量もごく少量ですぐ分解されますので、体への影響は比べ物になりません。

 なお、非常に有効性の高いワクチンではありますが予防効果は100パーセントではなく、まだ集団免疫も獲得できておりません。ワクチン接種した後も手洗い、マスク、3密回避の感染予防対策の継続をお願い致します。それでも安心感はだいぶ違うはずですよ!

参考資料

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